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女性の管理職登用など、「働く女性の躍進」が日本の成長戦略の中核と位置づけられてから5年。女性の仕事と育児の両立実現を目指す中、政府は待機児童問題の解決に力を注いできましたが、なかなかスムーズに進んでいないのが現状です。
そうした中、待機児童問題を解決するための方策として、企業内保育所が注目されています。
目次【本記事の内容】
企業内保育所とは、企業が福利厚生の一環として、従業員に向けて提供する保育施設のことです。
育児と仕事の両立を図りたい従業員が、「保育施設の調査から入園までの活動」「保育施設への送迎」などに労力を割かないよう、企業内もしくは企業の隣接地に保育施設が設置されます。
従来は、看護師など女性の従業員が多く、夜間勤務など不規則な労働環境を求められる医療現場での設置が多く見受けられました。しかし近年では、大手食品会社や小売業会社などの企業を中心に、企業内保育所の設置が増加しています。
企業内保育所が増加している背景として、2016年政府が開始した「企業主導型保育所」があります。
保育施設には、地方自治体が管理する「認可保育所」と、認可保育所と比較すると設立の条件が緩め「認可外保育所」があります。認可保育所は地方財政など行政から助成金をもらえるケースが多いですが、認可外保育所は助成金をもらえることがほとんどなく、またもらえたとしても認可保育所に比べると少額となります。
企業が保育施設を設立するには、「認可保育所」の場合、保育所を設立する要件を満たすのに労力がいりますし、「認可外保育所」では設立・運営に莫大な費用がかかるため、企業内保育所を設置するのは、ハードルが高いものでした。
ところが、政府が開始した「企業主導型保育所」は、設立基準は認可外保育所の基準に準ずるものであり、設立要件が認可保育所よりも緩いのが特徴です。また、運営も24時間保育や病児保育など認可外保育所と同様のサービスを提供できます。設立資金や運営費用についても、内閣府が助成制度を設けています。
企業主導型保育所の設立資金については、人口密度区分、定員区分の2つの区分における基準額を基礎として 基本単価を算出し、実際にかかった対象工事費用に3/4を乗じた額と比較し低い方の額を助成します。
運営費用については、域区分、定員区分、年齢区分、開所時間区分、保育士比率区分の5つの区分における基準額を基礎として助成額を算出します。
例えば、都市部で定員20人の施設を新設する場合、設立資金に約1億円程度、運営費用に約3千万円の助成金が支払われます(※入園者の年齢、保育士比率、開所日数等により助成金額が変わります)


※引用:公益財団法人 児童育成協会
http://www.kigyounaihoiku.jp/institution/amount-2
http://www.kigyounaihoiku.jp/institution/amount-1
企業主導型保育所の導入により、設立要件・費用負担のハードルが下がり、より多くの企業が企業内保育所を設立しやすくなったといえるでしょう。
企業内保育所は、従業員にとって次のようなメリットがあります。
育児休暇の終了にともない、壁となってくるのが「保育施設に入れるか」という問題です。まず、入園希望者は、自宅から送迎できる距離の保育施設を複数ピックアップし、認可保育園の場合は役所に申請書類を提出します。生活保護世帯や生計中心者の状況などの審査の後、定員がいっぱいで入園できなかった場合は、待機児童として登録されます。
このように、育児休暇を終了し、共働きを選択する夫婦はこの工程を踏むことが必要です。
また待機児童として登録された場合は、入園できるまでの間、「育児休暇を延長することができるか」「いつになったら仕事に復帰できるか」といった不安がつきまとうことになります。
企業内保育所が勤務先に設置されていれば、このような問題を抱えることなく、育児休暇を不安なく過ごすことができます。
保育施設までの送り迎えにかかる負担は大きいものです。
自宅付近の保育施設に運よく入園できればよいですが、「家から保育園まで電車で30分かかる」というケースもあるようです。
企業内保育所であれば、企業に隣接して設置してあるため、送り迎えの負担が軽減されます。さらに、預かりの時間も許可保育所よりも長めに設定されている所が多いため、「お迎えのため、5時までに退社しなければ」といった時間的制約を感じず仕事に励めるメリットがあります。
子どもが熱など出た場合、許可保育所へは預けることができません。
企業内保育所であれば、子どもが病気の際も預けることができ、子どもが心配な時は、近場のため仕事の合間をぬって、見に行くことができるのも働く親にとってはうれしいメリットです。
企業内保育所を設立する企業側のメリットは、下記の通りです。
企業内保育所を設置することで、従業員は女性であっても男性であっても、育児と仕事との両立がしやすくなります。設置により、仕事のノウハウを発揮し始める中堅層が、育児により離職することを防ぐ効果があるといえるでしょう。
さらに、育児にかかる労力を減らすことにより、中堅層の仕事効率のアップを図ることができます。
企業内保育所の設置を企業情報に掲載することで、優秀な人材の確保に役立てることができます。ワークライフバランスの必要性が求められる中で、「育児と仕事の両立」を図れるかどうかは、就職を決める上で重要なファクターのひとつとなっています。
優秀な人材は、就職活動をした際、数社から合格通知をもらうことが多いため、入社の決め手となるのは、企業内保育所の設置など福利厚生面であることも少なくはありません。
企業内保育所の設置は、新聞などで取り上げられることも多く、働く人にとっては関心事のひとつです。企業内保育所を設けることにより、「従業員の生活を大切にするクリーンな企業」というイメージを世間に知らせることができ、企業のイメージをアップさせる広告として効果をあげることができます。
企業内保育所は自社で運営する場合と、外部業者に業務を委託する場合とがあります。委託金はかかりますが、外部業者に設立や運営を委託する場合は、自社にノウハウがなくとも設立することができ、企業の負担は軽減されます。
企業が企業主導型保育所を設立する場合は、下記の流れで調査の上、助成金を申請し、実施に移します。
まず、設置方法を検討します。選択肢として、①自社単独設置・利用、②自社設置で、他企業と共同利用、③複数企業での共同設置・利用があります。
協力し合える会社が近隣にあるようでしたら、コストの面から他社と共同での設立・運営を検討するのもよいでしょう。
自社で直接運営するか、外部企業に運営委託するか決定しましょう。
預かる子どもの年齢、開所時間等のニーズなど従業員から調査しましょう。実際に預かる子の年齢や開所時間により、助成金金額も変わるので、事前にチェックしましょう。
選定する建物によって、建築基準法、消防法や食品衛生法等の各種法令や、各自治体の建築物に関する条例等を遵守する必要があるので、必ず地方自治体に相談して下さい。また、建物によっては、用途変更手続きが必要なので、併せて確認する必要があります。
設置場所を検討しましょう。選択肢としては、①自社内及び隣接地での設置、②駅前等の交通の便の良い地域での設置、③従業員が住んでいる地域での設置等があります。
児童1人あたりの必要面積、必要な設備等をもとに、必要となる面積・構造が確保できるか確認します。
条件として、乳児室(1.65㎡※定員が20名以下の場合は3.3㎡)、ほふく室(3.3㎡)、保育室、遊戯室(1.98㎡)、屋外遊戯場(3.3㎡)が必要となります。また、建物の構造としては、保育室(遊戯室、乳児室、ほふく室)、便所(大人用は不可)、調理室(調理設備)、屋外遊戯場(満2歳以上)、非常口等が必要です。屋外遊戯場が施設敷地内に設置できない場合、付近に代替地となる公園、寺社境内などが必要な条件となります。
その他、保育従事者の半数以上は保育士資格を有していることや、園児の年齢ごとに必要な人数の保育従事者を満たしているか等の項目を検討に含める必要があります。検討の後、毎年開催される内閣府の企業主導型保育事業の募集に応募し、設立に向けて、助成金を取得しましょう。
企業は行政が提供する助成金を活かしながら、従業員や会社としてもメリットのある企業保育所の設立を、ぜひ検討してみてください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、最新情報や具体的対応は公式情報や専門家にご確認ください。詳細はご利用規約をご覧ください。
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