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フレックスタイム制を導入している気企業はめずらしくなくなりました。従業員の自主性を尊重することで、働きがいを感じてもらえるなど、多くのメリットがあるフレックスタイム制について、解説します。
フレックスタイム制は、始業と終業の時間を、労働者の裁量で決めることができる「変形労働時間制」のひとつです。日本では労働基準法の改正で、1988年から合法化されました。
フレックス(flex)とは、「柔軟な」を意味するフレキシブル(flexible)の略です。よって、フレックスタイム制は、勤務日にいつ出勤して仕事を始めて、いつ終えて退勤するのかを、自分の判断で柔軟に決定できることを示しています。
労働基準法では、週5日、1日8時間の労働時間を基準としています。俗に「9時5時」といわれるように、午前9時に勤務開始、午後5時に終了するスタイルが一般的です。
しかし、フレックスタイム制では勤務開始と勤務終了を、前倒しにしたり、後へ遅らせたりすることもできるのです。
フレックスタイム制でも、残業という概念はあります。ただし、1日8時間を超えると、即、残業であると認定されるわけではありません。なぜなら、フレックスタイム制では、1カ月単位で労働時間を算定(清算)し、その基準となる総労働時間を超過していた場合に残業代(時間外手当)が発生する扱いとなるからです。
1日8時間、週40時間労働を前提として、1カ月を清算期間として設定したとき、31日まである月は177.1時間、30日までの月は171.4時間となります。これを超えると残業代が発生します。
ただし、会社がフレックスタイム対象従業員に対し、残業命令を出すことはできません。
集計した結果、もし、基準となる総労働時間に満たない月があった場合には、満たない時間分の給与をカットするか、翌月に持ち越して多めに労働時間を確保してもらうことになります。
労使間の取り決めによって、裁量を一部制約し、勤務日に必ず出勤していなければならない時間帯を設定することもできます。この時間帯を「コアタイム」といいます。
コアタイムは、一般的には4時間ほどが設定されることが多いです(コアタイムが7時間など、長すぎるときには、フレックスタイムを有効に設定していないものとされ、無効と扱われる場合があります)。たとえば、午前10時から午後3時をコアタイムに設定した場合(休憩時間が正午から午後1時とします)には、午後11時に出勤したり、午後2時に退勤することはできません。コアタイムに違反した以上は、遅刻や早退扱いとなる場合があります。
コアタイムを午前10時から午後3時までと設定したとき、その前後の数時間は、勤務開始と勤務終了の時刻をずらすことができるわけです。たとえば、午前7時から10時のどこかの時点で任意に出勤し、午後3時から午後7時までのどこかで任意に退勤できものと、会社と従業員の間で取り決めることができるのです。これらの時間帯を「フレキシブルタイム」と呼びます。
フレキシブルタイムは、必ずコアタイムの前後双方に設定しなければなりません。
一方で、コアタイムが設定されず、従業員がいつでも出勤でき、いつでも退勤できる場合を「フルフレックス」や「スーパーフレックス」と呼ぶことがあります。
フレックスタイム制にはメリット、デメリットが存在します。正しく理解をした上で、制度の導入を行いましょう。
フレックスタイム制は、勤務時間を従業員自身が決められる自由度があります。
たとえば、午前7時~9時過ぎまでに集中しがちな、電車やバスの通勤ラッシュ、自動車での渋滞などを避けることができるので、従業員は時間を有効活用できますし、通勤までの疲労も軽減されます。
フレックスタイム制は、従業員の自主性を尊重する制度でもあるため、上司の指示を待つのでなく、自分自身で考え、積極的に事業活動にコミットしようとする動機付けとしても作用しうるでしょう。
繁忙期に集中して労働時間を確保したり、忙しくない時期には労働時間を少なめにしてリラックスするなど、自主的に仕事のメリハリを付けられるため、全体として残業や休日出勤を減らす効果も期待できます。
会社にとっては人件費の削減につながりますし、従業員にとっては、ワーク・ライフ・バランスを確保し、プライベートを含めて人生をより充実させられるようになります。
また、優秀な人材を獲得するための魅力的な条件として設定されることがあります。よって、優秀な人材を獲得したいけれども、給与水準をそれほど上げられない場合に、フレックスタイムを条件に加えて、好待遇で迎えることも可能です。
ただし、フレックスタイム制には欠点(デメリット)もあるといわれています。
まず、会議や打ち合わせの時間、あるいは他の従業員や関連企業、外部の取引先との協働や連携が必要な事業では、スケジュールが合わせづらく、進行させにくい点が挙げられます。フレックスタイム制の従業員が、確実に出社している時間帯はコアタイムに限られるので、面会の必要がある業務ではスケジュール調整に制約が生じるのです。
窓口業務など、顧客との接触が必要な部署も、フレックスタイム制には一般に適さないといわれています。
また、自己管理が苦手で時間にルーズな傾向がある従業員に、フレックスタイム制を適用すると、仕事に対する意識が削がれ、むしろ業務効率が悪化するおそれがあります。
フレックスタイム制を導入するにあたっては、労働基準監督署に届け出る必要はありませんが、労使間で正式に協定を結び、さらに就業規則でフレックスタイムの内容を具体的に規定することが必要となります。
法律上(労働基準法60条)、18歳未満の年少労働者にはフレックスタイム制を適用することができませんので、ご注意ください。
また、運用にも注意しなければなりません。
フレックスタイム制は、1カ月単位で労働時間を自己管理する制度です。ある日は5時間勤務で退社しても構わないけれども、別の日に多めの労働時間を確保して、帳尻を合わせる必要があります。労働時間の割り振りは各自の判断に委ねられるため、その月ごとに自分がどれほど勤務しているのか、自分自身で把握しながら調整していく、まめな配慮が求められます。
もし、どんぶり勘定で自己管理が得意でない従業員にフレックスタイム制を適用すると、労働時間に対する意識が低下するおそれがあるのです。よって、フレックスタイム制を導入する目的を明確にして共有した上で、適用すべき社員を、慎重に選定する必要もあるでしょう。
最初は全社員に適用しても構わないのかもしれませんが、フレックスタイム制のせいで業務効率が下がっているとみられる従業員に対しては、固定の労働時間に切り替える旨をあらかじめ予告しておき、できるだけ不満が出ない形で運用することが大切になります。
固定の労働時間を定めたほうが、かえってオンとオフをしっかり切り替えやすい特性を持つ従業員も少なくないからです。
また、残業や休日出勤といった時間外労働では、そのぶんの時間外手当を支給しなければなりません。給与の深夜割増しや休日割増しは、フレックスタイム制でも適用されます。その点を曖昧にしていると、従業員とのトラブルに発展するおそれがあり、未払い残業代請求の訴訟を提起されるリスクもありますので、ご注意ください。
みなし残業代(固定残業代)制度も組み合わせてフレックスタイム制を導入することで、時間外手当に関する労使間の意思が食い違わないようにすることができるでしょう。
フレックスタイム制は、従業員の自主性を重んじ、労働時間を自己管理に委ねる制度です。従業員によっては仕事に対するモチベーションを引き上げる効果が期待できますし、優秀な人材を招くことができる有効な労働条件になりえます。ただ、適用を誤ると、労働時間の管理がかえってルーズになり、労働意欲の低下につながるおそれもあります。また、フレックスタイム制の適用に向かない部署や職種もありますので、ご注意ください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、最新情報や具体的対応は公式情報や専門家にご確認ください。詳細はご利用規約をご覧ください。
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