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企業の採用活動において、インターンシップの重要度が今後、ますます高まることになりそうです。経産省が厚労省・文科省との三省合意により、本年6月に「インターンシップの推進に当たっての基本的な考え方」を改正(以下、「考え方」改正)したからです。
これに呼応するかのように、株式会社ディスコが「2024年卒/9月後半時点の就職意識調査」*を発表しました。ここでは就職活動の渦中にある学生たちの、インターンシップに対する意識が浮き彫りとなっています。この両者を比較したところ、合致している方向性がある一方で、大きなギャップも浮かび上がってきました。そしてこのギャップは、インターンシップの大きな転換点を予感させるものといえそうです。
目次【本記事の内容】
「考え方」改正は、従来「インターンシップで取得した学生情報を、広報活動や採用選考活動に使用してはならない」とされていた規定を、「現大学2年生より、一定の基準(後述)に準拠するインターンシップで得られた学生情報については、その情報を採用活動開始後に活用可能」と改正したものです。
この狙いについて、萩生田経済産業大臣(当時)は「質の高いインターンシップが根付き、学生と企業とのマッチング向上も期待できる」としています。もっともインターンシップを実施する企業の大半は、本改正前からインターンシップと選考とを連携しているともいわれており、その流れが本改正により、さらに加速することが確実視されています。
これに対し、選考される側の学生も、インターンシップへの参加意識をいっそう高めていることが、株式会社ディスコが発表した「2024年卒/9月後半時点の就職意識調査」(以下、就職意識調査)で明らかとなりました。
この調査によれば、インターンシップ等への参加状況について、88.9%もの学生が「1日以内のプログラム」へ参加したと回答しています。その一方で、参加していない学生はわずか8.1%に留まりました。
さらには「2~4日間のプログラム」に参加した学生が55.5%、「5日間以上のプログラム」が25.2%という結果となっており、いずれの回答も前年の参加状況調査より増加しているとのことです。
参加した社数についても、「1日以内のプログラム」は平均5.8社となっています。これは前年調査(5.6社)との比較では微増ですが、複数日程プログラムと比較した場合には2倍以上もの高い数値でした。就職意識調査では、学生のインターンシップへの参加傾向について「短期プログラムへの参加が中心になっている」と分析しています。
ここで注目すべきは、参加意欲は旺盛だが、短期プログラムが主流、という今の流れです。この流れは「考え方」改正により、今後どう変わっていくのでしょうか。
「考え方」改正では、学生の情報を採用活動に活用できるインターンシップに一定の基準(最低限遵守すべきと考える基準)を設けています。
その主要基準の一つといえるのが「実施期間要件」です。ここでは「汎用的能力活用型では5日間以上、専門能力活用型では2週間以上」と規定しています。
学生の情報を採用活動に活用したいと考える企業は、今後、この実施期間要件を重視するでしょう。これに準拠した長期日程のプログラムを主流にすることが考えられますが、これは短期プログラムが主流である現状の学生意識とは、かい離する可能性を意味します。
そこで考えられるのは、短期が主流である現状の流れを軌道修正し、長期的なインターンシップを主流とするのが、「考え方」改正の大きな狙いの一つではないかということです。
企業が「考え方」改正に準拠した長期的インターンシップを主流とすれば、意欲的な学生は、たとえ今が短期志向であっても、その意識を否が応でも変えざるを得なくなるからです。さらにいえば、意識を変えられない学生は、脱落を余儀なくされる可能性が高まり、結果としてこの段階で選別が始まることになります。
これこそが質の高いインターンシップを根付かせることの、真の狙いだと考える関係者も少なくないようです。
ただし、学生にとって救いといえる要件もあります。それはもう一つの主要基準といえる「就業体験要件」です。
ここでは就業体験を必須としており、学生の参加期間の半分以上の日数を体験期間と設定し、実施場所は職場(職場以外との組み合わせも可。テレワークが常態化している場合はテレワークを含む)と規定しています。
これに対して就職意識調査の傾向も、基本的な方向性は合致しています。「インターンシップ等の形式別参加状況」に関する設問では「対面形式」が71.2%でした。これは前年比33.4ポイント増もの急速な伸び率です。対する「オンライン形式」は93.6%でしたが、前年比では4.2ポイント減と減少傾向にあります。
さらに、「今後のインターンシップ等への参加予定」に関する設問において、52.7%の学生が「対面形式」を希望しました。実施場所として職場を希望する学生が過半数を占めており、「オンライン形式」の16.9%を大きく引き離しています。
このことは「参加したいプログラム」に関する設問においても明確であり、「ワークなどを通じて仕事内容を理解できるもの」(62.5%)や「実践的な仕事を経験できるもの」(59.8%)、「実際の職場を見ることができるもの」(54.4%)など、就業体験を想起させるプログラムが上位にあがっています。
企業が「考え方」改正にのっとり、就業体験型プログラムを拡充し、学生の就業体験意欲がさらに高まれば、質の高いインターンシップの具現化に向けた、もう一つの原動力となることは間違いないでしょう。
ここまで見たように、学生のインターンシップに対する意識の現状は「参加意欲が旺盛」であり、参加したいプログラムの形式は「対面形式が急増傾向」にあります。また、希望するプログラムは、「実際の就業体験であること」など、「考え方」改正の方向性と基本的には合致しているといえます。
そして、唯一意識を変える必要性があるのは「実施期間」ということになります。実施期間要件に定められた「5日以上のプログラム」への参加者は現状で25%強です。4人に1人の計算でしかなく、これがどのようなペースで増えていくのかが、質の高いインターンシップを根付かせる大きなカギを握っています。
そのためには現状で55.5%の「2~4日間のプログラム」参加者、そして9割近い「1日以内のプログラム」参加者の意識が今後、どのように変化するのかにかかっているといえるでしょう。
今回の就職意識調査対象である24年卒の学生は、「考え方」改正の適用外(25年卒の現大学2年生から適用)ですが、その1年後輩たちの意識は、今後どう変化するのでしょうか。来年も実施されるであろう就職意識調査の結果は、非常に注目すべきものとなるはずです。
●参照元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000607.000003965.html
●参照元:https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000949684.pdf

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