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会社の設立要件を緩和し、資本金1円でも会社を設立できるようになったのが合同会社で、小資本でも起業できることから、スタートアップの起業を後押ししてきました。ところが、不正勧誘で出資者が損失を被る事例も多く見られるようになり、金融庁は合同会社の設立には登録を義務付ける制度改正に取り組む方針を表明しました。
株式会社を設立しようと思えば、登録免許税や定款認証手数料、定款謄本手数料などの法定費用など、手続き費用だけで最低でも25万円程度はかかります。
また、最低資本金制度によって、株式会社は1,000万円、有限会社は300万円の資本金が最低でも必要だったため、それなりにまとまった資金を用意しなければ、会社を設立することはできませんでした。
ところが、起業による経済の活性化を目的とした新会社法(2006年5月1日施行)によって、株式会社の設立要件が緩和され、法定費用である登録免許税60,000円と、資本金1円でも設立可能な会社の形態が認められるとともに、合同会社の設立が可能となりました。
合同会社は、アメリカでは「LLC=Limited Liability Company」と呼ばれ、かなり普及している会社形態です。日本では外資系企業にこの形態の会社が目立ちますが、まだ、それほど多くはありません。しかし、小資金・少人数で設立できるため、この制度を利用したスタートアップ起業も続々と誕生しています。
合同会社は、資本金1円で設立できるだけでなく、取締役会や決算公告の義務、監査役の設置義務もありません。そのため、2021年に誕生した合同会社は、前年比約11%増の3万6,934社(東京商工リサーチ調べ)と過去最多を更新しています。
実に、新しく設立された法人の4社に1社が「合同会社」というほど拡大していますが、その一方で、金融庁や消費生活センターには「投資資金が回収できない」などの苦情や相談が増加し、2017年4月から2022年3月までの5年間で約350件も寄せられています。
また、起業セミナーと称して、マルチ商法の勧誘方法を指南するほか、コロナ禍でバイトができなくなり経済的に苦しくなった大学生を、実態のないネットワークビジネスに勧誘する悪徳商法も増加するなど、目指していた“起業による経済活性化”とは裏腹の現象が生じるようになってきました。
そこで金融庁は、金融商品取引法に基づいて制度を改正し、会社設立で出資を募る場合には、登録を義務付けることにしたわけです。
登録制にすることで、証券取引等監視委員会も、新設会社の実態を的確に把握できるようになるほか、登録せずに出資を募った場合は、裁判所に禁止命令を申し立てられるようにすることも検討しています。
登録義務化の目的は、投資家の保護を徹底することですが、適切な起業環境を整備することで、本来の目的であった“起業による経済活性化”につなげていきたいという狙いもあるようです。
新規企業参入の阻害要因にもなっていた会社の設立要件を緩和したことで、とくに学生など若年層の起業家が増えたことは間違いありません。
もちろん、資本金1円のままでは、対外的な信用という点でも、まだまだ低いと言わざるを得ないでしょう。
事業を拡大していくためには、資金を調達することも視野に入れなければならず、そのためには、合同会社から株式会社への転換も必要となるでしょう。
一方、たとえばアメリカでは、起業時には自宅のガレージからスタートして、世界的な大企業となったケースもあります。日本の合同会社からも、世界をリードするような巨大企業が誕生する日は来るのでしょうか。
会社設立要件を緩和したことで、怪しげな会社や悪徳商法が目立つようにもなりましたが、新規参入企業が増えることは経済の活性化には欠かせないことです。その起爆剤となる可能性を秘めているのが“合同会社起業”なのかもしれません。

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