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人材不足に加え、コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻による経済への影響など、中小企業の経営基盤は深刻な状況となっています。経済基盤の強化に欠かせないのが人材確保ですが、それを後押しするため中小企業向けの「賃上げ促進税制」が延長・拡大されることになりました。この人材確保が目的の優遇税制で、中小企業の賃上げは実施されるのでしょうか。
株式会社フリーウェイジャパンが実施した「賃上げ促進税制に関する認知度調査」によると、賃上げ促進税制について知っている中小・零細企業は57.9%と、税制そのものについての認知度は過半数に達しています。
調査タイトル:賃上げ促進税制に関する実態調査
調査方法 :インターネットリサーチ
調査期間 :2022年 2月22日~3月3日
調査対象 :中小企業/零細企業の従業員378人、代表取締役221人
ところが、この優遇税制を活用して賃上げに取り組むかといえば、「活用する」はわずか8.4%にとどまり、活用するかどうか「わからない」が最多の49.9%、「活用しない」が41.7%という結果です。
優秀な人材が集まれば、業績アップにつながる可能性が高くなります。しかし、優秀な人材を確保するためには、仕事内容に見合うだけの報酬を支払わなければなりません。それだけに、最大で40%の税額控除が適用となる優遇税制は、賃上げに取り組もうとする中小零細企業の力強い支援となるはずです。それなのに、なぜ活用がすすまないのでしょうか。
「賃上げ促進税制」を活用しない理由で、もっとも多かったのが「税制優遇の効果に期待できないため」の40.0%です。また、「賃金の引き上げにより業績悪化の可能性がある」や「コロナ禍で業績回復が見込めない」などの回答も、活用しない理由に挙げられています。
税制優遇の効果に期待できないのは、中小・零細企業の大半が赤字経営で、そもそも法人税が課税されていないからです。そのような経営状態にあって、無理に賃上げに取り組んだとしても経営を圧迫するだけ、という懸念を抱く経営者が多いようです。
ところで、中小・零細企業で賃上げを予定しているのはわずか14.7%です。検討しているのが41.4%で、賃上げを行わないは44.2%ですから、先行きが不透明な状況では、大企業以外は賃上げに踏み切るのが難しいというのが、この調査結果から見えてきた実情になります。
経済の回復基調がなかなか見えない状況ですが、それでも賃上げに踏み切る理由でもっとも多かったのが、やはり「従業員の定着率向上のため」の61.4%です。
一方、賃上げが難しい理由についての最多は、「業績の回復が見込めないため」が45.2%で、コロナ禍の業績悪化が賃上げにも悪影響を及ぼしていることも明らかになりました。また、「一度基本給を上げると元に戻せない」や「賃金を上げなくても人材確保ができている」などの回答もありました。
賃上げ予定企業の上げ幅は、「3%以上5%未満」が23.9%、「5%以上10%未満」が17.0%、「2.5%以上3%未満」が12.5%、「2%以上2.5%未満」が10.2%、「1.5%以上2%未満」が8.0%という結果です。
「賃上げ促進税制」の適用対象となるのは、青色申告書を提出する資本金1億円以下の中小企業者などで、給与等支給額が前年度比2.5%以上増加の税額控除は30%、1.5%以上増加の場合は 15%の税額控除となりますから、全体の80.7%が1.5%以上の賃上げをするようです。
賃金を上げなければ優秀な人材は集まらない、しかし“無い袖は振れない”というのが、日本の中小・零細企業の実情です。企業が自発的に賃上げを実施できるような時代は、はたしてこれから先、訪れるのでしょうか。
給料を上げた企業に対して、その増加額の一部を法人税から税額控除するという「賃上げ促進税制」ですが、法人税を支払っていない赤字企業にとっては、優遇税制の恩恵をまったく受けることはできません。日本の賃金水準アップに直結するのは、「賃上げ促進税制」よりも「景気回復」が先ということになるのでしょうか。

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