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2021年の新規上場企業数(IPO企業数)が137社になり、直近15年の中で最も高水準になる見通しであることをご存じでしょうか。近年、国内の上場企業数は90~100社の間で推移してきましたが、2021年は2020年から35社も増加したのです。
今回は2021年に新規上場企業数が増えた要因、さらにそこから生じる上場ゴールの問題についてご紹介しましょう。
日本取引所グループ(JPX)が11月29日に、2021年の国内証券取引所における新規株式公開(IPO)の企業数が、137社になる見込みとの発表を行いました。
前年(2020年)の上場企業数はコロナ禍の中でも103社(TOKYO PRO Marketを含む)と、2007年以来の100超えとなりましたが、2021年はそこからさらに35社も増えているのです。
特に東京証券取引所の新興市場であるマザーズへの上場が多く、137社中94社も占めています。実に全体の7割が、マザーズへの上場です。マザーズは主にベンチャー企業の株式取引を扱っています。新型コロナウイルスの影響の中でも企業を成長させ、上場に必要な環境・体制を整えたベンチャー企業が多く存在したわけです。
日本において、2007年まで毎年100社以上の企業が証券取引所に新規上場していました。それまでも、2001年に生じたITバブル崩壊とアメリカの9.11テロ事件などの影響で低迷したことがあったものの、100社を下回ることはありませんでした。
しかし、2008年に生じたリーマンショックにより状況は一変します。実は2006年から2007年にかけて、ライブドアの不祥事事件など株式取引への風当たりが強くなった影響等により、前年度比-60社以上も上場企業数が減っていました。
その後に起こったリーマンショックによる大不況は、それに輪をかけて上場企業数を減らしたのです。結果として2007年から2008年にかけて-80社以上の上場企業数減が生じ、2006年には188社あった上場企業数は、2009年にはわずか19社にまで減少しました。
その後は経済回復につれて上場企業数は増加していき、2015年には98社まで回復します。それからしばらく横ばいが続きますが、大きく減少することはありませんでした。そして2010年代後半にかけて期待が持たれていたのが、東京オリンピック・パラリンピックがもたらす好景気です。
東京オリンピック・パラリンピックの開催が決まった当時、2020年東京オリンピック・パラリンピック開催による経済波及効果は全国で3兆円に上るとの予測がたてられ、到来するであろう好景気に日本中が沸きました。
15万人を超える雇用も誘発されるとされ、これから上場を目指すベンチャー企業にとっては、2020年を上場年の目標とした企業も多かったようです。オリンピック景気によって株価も安定すると予測されることから、IPO企業にとって2020年に上場を行うことは、合理的な選択だったわけです。
ところが、2020年の2月以降に本格化した新型コロナウイルスの影響により、状況は一変します。2020年4月以降に繰り返された緊急事態宣言によって経済活動も制限され、上場を目指して準備していた企業もいったん予定をストップ(上場承認取り消し)せざるを得ませんでした。
それが2021年になると再び状況が変化し、コロナ禍の厳しさは続くものの、ワクチン接種が進む中で企業活動が再開し始めたこともあって、上場を目指していた企業が一斉に上場を進めていったのです。
つまり、2021年に上場企業数が増えたのは、オリンピック景気を背景としつつ2020年に上場を準備していた企業がコロナ禍により実施不可となり、コロナ禍が緩んだ2021年に一斉に上場を行ったことが背景にあったといえます。
上場企業数が前年比30社以上も増えたことに対して、専門家から危惧する声として上がっているのが「上場ゴール」への懸念です。
上場ゴールとは、株価が上場時にピークを示し、その後は経営の低迷とともに株価も下がっていくことです。上場することを目的とするあまり、本来の資本力・企業力以上の事業計画を立てて、上場直後に業績の下方修正を出すような企業もあります。また、上場したての企業の中には、上場してすぐに経営陣が自社株を売り抜けるといった行動がみられることも少なくありません。
例えば、2014年12月に東証一部へと上場した某スマホゲーム開発会社は、上場直後こそ株価は好調だったものの、上場からわずか2カ月半後に2015年4月期の業績を13億円の黒字から4億円の赤字へと大幅に下方修正しました。その結果株価は2日連続で急落し、上場直後に3,000円以上あった株価は1,200円台まで下がったのです。その後、経営幹部が持ち株を売却して売り抜こうとした事実も発覚し、株価はさらに落ち込んでいきました。
2021年には多数の企業が上場を果たしましたが、2022年に入って早々に「業績の下方修正」「経営陣の自社株売り抜け」といった事態が起こるのではないか、と懸念する専門家が少なからずいるようです。
日本取引所グループ(JPX)によると、2021年の上場企業数は前年比35社増となる137社になる見通しで、これはリーマンショック以前に匹敵する15年ぶりの高水準です。
この背景にあるのは、2020年に上場を予定していた企業がコロナ禍により計画が白紙となり、2021年に改めて上場を行った企業が多かったことがあります。しかし、上場企業が急に増えたことから「上場ゴール」を懸念する声が多いのも事実です。来年にかけての企業の動向に注目が集まっています。

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