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株主総会の完全オンライン化を進める動きが加速しています。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大により大人数での会合を避けるという意味合いもありますが、経済産業省は感染症の流行以前から既にオンライン化の議論を始めていました。その背景には国全体のデジタル化を進めたい国家としての方針があるのですが、株主総会のオンライン化は株主はもちろん、企業側にも多くのメリットがあります。今回は、株主総会完全オンライン化への課題と、その注意点について解説していきます。
経済産業省は「新時代の株主総会プロセスの在り方研究会」で作成したガイドラインの中で、オンライン株主総会を3タイプに分類しています。
リアルで開催している株主総会の映像を配信し、株主はインターネットを介して株主総会を視聴することができる。ただし通信方式は一方通行で質問や投票は行えない。
リアルで開催している株主総会の映像を配信するのは参加型と同じだが、株主はスマートホンやパソコンを通して質問や投票を行うことができる。
リアルな会場は設置せず、バーチャル空間のみで株主総会を開催する。出席型と同様に株主はスマートホンやパソコンを通して質問や投票を行うことができる。
上記のうち「ハイブリッド参加型バーチャル株主総会」と「ハイブリッド出席型バーチャル株主総会」は実際に開催されていますが、「バーチャルオンリー型株主総会」は法律上の制約があり開催されていません。実はこの制約が、株主総会の完全オンライン化を妨げる一番の課題なのです。
株主総会は、会社法により「日時及び場所」を決めるように定められています。この定めのうち「場所」が株主総会の完全オンライン化を妨げています。現行法では、バーチャル空間は現実には存在しない仮想空間であって、場所とは認められていません。つまり現在は、バーチャルオンリー型株主総会を開催しても法に則った手続きとは認められず、決議は無効となり株主総会は成立しなくなってしまうのです。
政府は現在「産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案」を閣議決定し、この法案中の「バーチャルオンリー株主総会の実現のための特例」という項目を、通常国会(本国会)で成立させようとしています。この法案が成立し、実際に施行されるまでにはもう少し時間がかかりそうです。
国会で法案が成立しバーチャルオンリー株主総会が開催できるようになったとしても、実際の運用にはリアル株主総会にはない注意点があります。
一つ目はオンラインならではの問題、通信障害への対策です。通信障害は、機器(カメラやマイクなどの配信設備も含む通信機器)の故障やインターネットの不具合でも起きうる事象です。リアルが存在しないバーチャルオンリー株主総会の場合には、障害によって通信ができなくなると完全に株主総会が開催できなくなってしまいます。機器の故障に関してはあらかじめバックアップ用の配信機器と別のネットワーク及び通信機器を用意し、設備とネットワークを二重化することにより障害を回避しなければなりません。インターネット(プロバイダ)の不具合と株主側の回線トラブルに関しては、企業側では対策することは不可能で責任を負えません。これに関しては、事前に文書で免責事項として通達し、株主から了解を得ておくことが大切です。
二つ目は透明性の確保です。過去にはハイブリッド出席型バーチャル株主総会において、質問回数・文字数の制限や、経営側への敵対的な質問を意図的に排除するなどの「不正行為」ともとれる事例が報告されています。リアルの存在しないバーチャルオンリー株主総会の場合には、今まで以上にこのような経営側による恣意的なコントロールができないように工夫されなくてはなりません。
この問題を解決するには、経済産業省が主導して省令や開催のガイドラインにバーチャルオンリー株主総会の透明性を担保するための指針を盛り込む必要があります。その上で配信システム(ソフトウェア)に指針を遵守できる機能を実装し、デファクトスタンダードとしてしまうことが大切です。
国の政策としてかねてより検討が進められていた株主総会の完全オンライン化ですが、昨今のコロナ禍の影響で本格的な運用へと加速がつきそうです。国会で改正法が成立すれば、一気に完全オンラインが普及していくことも考えられます。企業の管理部門では、法律の動きや配信ソフトウェアの情報収集を怠りなくしておきたいものです。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、最新情報や具体的対応は公式情報や専門家にご確認ください。詳細はご利用規約をご覧ください。
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