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退職金制度には大きく分けて4つの種類があります。ご自身の勤め先に退職金制度がある場合、将来どれくらいもらえるのか試算したことはありますか。今回は、身近にあるにもかかわらず、将来的なんとなく貰えるものというイメージの退職金制度について、わかりやすく解説します。
退職金制度の歴史
退職金制度は、いつ誕生したのでしょうか。「なぜ退職金や賞与制度はあるのか」(大湾秀雄、須田敏子著 『日本労働研究雑誌』)によれば、かつての財閥系商家がのれん分けをするときに、年季明けとして金一封を包む習慣がありました。主人側と使用人側が積み立てを行い、年季明けのときに受けとるというシステムだったので、現在とは形式が異なります。
近代化によって、経済が発展するにつれて、出稼ぎ労働者の離職を押さえるために退職金のような制度が運用され始めました。退職金制度は、使用人の生活を保障するための制度として、国による社会福祉制度の整備を補うように広まって行きました。1952年の所得税法改正によって、退職金が一般給与所得と別に扱われることになり現在に至ります。
退職金制度の定義
日常生活上で「退職金」とは、退職時に給付される金銭のことを表すことが多いでしょう。退職金は、一時金で支給される「退職一時金」と、退職金の一部が年金形式で支給される「企業年金」のことを指し、これらをあわせて、一般には「退職給付金制度」や「退職金制度」などと呼ばれます。
政府の退職金に関する定義は、「退職給付」として「一定の期間にわたり労働を提供したこと等の事由に基づいて、退職以後に支給される給付(退職給付)」(『企業会計基準第26号』p3)、と表現されています。したがって、統計などで退職金を扱う時は、退職給付金という言葉が出てよく使われています。
退職金は、就業規定において定められています。一例として厚生労働省の発表している就業規則のモデルには、
「第52条 勤続○年以上の労働者が退職し又は解雇されたときは、この章に定めるところにより退職金を支給する。ただし、自己都合による退職者で、勤続○年未満の者には退職金を支給しない。また、第63条第2項により懲戒解雇された者には、退職金の全部又は一部を支給しないことかがある。」
と定められています。
退職金制度は必ず設置しなければならないものではありませんが、設置する際には退職金を給付する範囲、支給要件、計算方法などを就業規則に定めなければなりません。また、後述しますが、就業規則に退職金給付制度があり、要件に当てはまっている従業員であるにもかかわらず、退職金を給付しないということも許されません。
正社員のみ、退職給付を行うと法律で決まっているわけではなく、パートやアルバイトに退職金を支給することも可能です。いずれにせよ、退職金については就業規則にしっかりと定める必要があります。
退職金制度の4つの類型
退職金制度には、大きく分けて4つの類型があります。企業の内部に留保しておく方法、企業年金型(確定給付型)、確定拠出型、共済型(中小企業退職金共済制度)です。このうち、企業の内部留保は退職金が必要になったときに給付しやすい一方で、税制上のメリットが少ないことが難点です。内部留保にも法人税が課税されてしまうということです。
二つ目の企業年金型は、確定給付型とも呼ばれ、企業とは別の年金基金を作り、将来における退職金を積み立てていくというものです。年金資産は企業が運用し、将来の給付額の責任は企業が負う仕組みです。
確定拠出年金は、掛金を先に決めておき、給付額は運用の良し悪しによって左右され確定しません。離職時に年金の持ち運びができ、個人別に年金資産を管理します。
最期の共済型は共済の仕組みを利用した退職金制度です。独力では退職金制度を作ることが難しい事業主でも、掛金の一部を国が助成することで退職金制度を作ることができます。
退職金制度の導入率は約7割
厚生労働省実施の「平成25年 就業条件総合調査」によると、75.5パーセントの企業が何らかの退職給付制度を設置しています。このうち、退職一時金制度のみは65..8パーセント、退職年金制度のみが11..6パーセント、両制度の併用が22.6パーセントにのぼります。
退職給付として、退職一時金制度を活用している企業が圧倒的多数だということが理解できます。
最新年度版として、中央労働委員会が行った「平成29年賃金事情調査」では、現在、退職金制度を導入している企業のうち両制度を併用しているうちに企業は85パーセントでした。各業種別に見ても、8割を越えています。
退職金を未払いにすると?
ところで、企業の業績が芳しくないことを理由に、退職金給付をしないことは許されるのでしょうか。
労働基準法第2条2項では、「労働者及び使用者は、労働協約、就業規則及び労働契約を遵守し、誠実に各々その義務を履行しなければならない。」と定められているため、退職金給付の就業規定がある限り、経営が苦しくても退職金を支払わなければなりません。
独立行政法人 労働政策研究・研修機構も*「すでに確定した個人の退職金請求権を奪うような協約規定には規範的効力は認められない」という見解を示しています。
退職金制度を廃止、変更することは可能ですが、判例によれば合理性の有無がポイントになります。つまり、従業員にとって不利益な就業規則の変更には一定の合理性が必要だということで、退職金制度の廃止、変更は必ずしもできるとは言い切れません。
退職金制度は従業員の生活を支えるものです。退職金制度を見直す場合は、労使間の信頼関係、コミュニケーションが重要となるでしょう。
*独立行政法人労働政策研究・研修機構
http://www.jil.go.jp/rodoqa/03_taishoku/03-Q04.html
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、最新情報や具体的対応は公式情報や専門家にご確認ください。詳細はご利用規約をご覧ください。
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