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「情報銀行」という銀行をご存じでしょうか。日本政府は2017年頃から導入に向けた具体的な検討が行われ、今後本格的に開業に向けた動きが進展する見込みです。銀行といっても金融資産を扱うのではなく「情報」、「個人データ」を扱うことから、これまでにない事業のあり方として、現在経済界で大きな注目を集めています。そこで今回は、情報銀行とは何か、その設立の背景には何があるのか、私たちが個人として利用するとどんなメリットがあるのか、について詳しく解説しましょう。
総務省によると情報銀行とは、
個人とのデータ活用に関する契約等に基づき、PDS等のシステムを活用して個人のデータを管理するとともに、個人の指示又は予め指定した条件に基づき個人に代わり妥当性を判断の上、データを第三者(他の事業者)に提供する事業(データの提供および活用に関する便益は、データ受領事業者から直接あるいは間接的に本人に還元される)。
と定義されています(総務省『データ流通環境整備検討会 AI、IOT時代におけるデータ活用ワーキンググループ中間とりまとめ』2017年3月)。定義中の「PDS」とは、Personal Data Storeの略で、「個人が自らの意思で、自らのデータ(パーソナルデータ)を蓄積・管理するための仕組み」のことです。つまり情報銀行とは、個人からパーソナルデータを預かり、それを適切に管理し、運用するシステム・仕組みを持つ銀行であり、各個人は自らの意思でパーソナルデータを預けるという形で情報銀行を利用します。
では、なぜこのような情報銀行の導入・開業が、政府肝いりで進められているのでしょうか。その背景にあるのは、インターネット上において個人情報を広告、販売に活用し、それにより巨額の利益を得ている企業が増えている、という事実です。もし個人がインターネット上のサービスを活用したい場合、利用者は会員登録をする必要があります。その際、各個人は自分の個人情報を運営会社に渡さなければならず、渡した後、その個人情報がどのように利用されるのか不明になるケースが少なくありません。
実際、2019年2月に日本経済新聞社が行った調査によると、国内で消費者向けのサイトを運営する主要100社のうち47社が、具体的な提供先を1社も示さずに、個別に共有を停止する手段を備えないまま、外部企業に消費者のデータを送っていたことが明らかにされています(こうした行為は日本では法律違反とはなりません)。例えば、ネット上で航空便の予約サービスを行う「全日本空輸」の場合、共有先の数は70に上り、コンテンツ配信を行う「DMM.com」は同65に上っていました。共有されたのは個人名や住所などではなく、利用者がどのサイトをいつ訪れたのかが分かる「クッキー」という利用データが中心です。クッキーのデータは、個々の消費者の嗜好に合った広告を配信する「ターゲティング広告」などに使われます。
しかし、日々の生活に追われている個人・消費者が、個人的なデータの管理を日ごろから完全に行うのは難しい面もあります。特に、インターネット上で複数のサービスを同時並行的に利用している人は、サービス提供会社1社ごとに個人的データがどのように利用されているのかを念入りに確かめるというのは現実的に困難といえるでしょう。
こうした状況の中、政府としては、
・パーソナルデータを安全な環境で保持できるようにすること。
・パーソナルデータがどこでどのように使われているのかを明確化できるようにすること。
・パーソナルデータの使い道を個人に決定できるようにすること。
・企業がパーソナルデータを利用して利益を得たときは、個人に還元すること。
などを目的として、情報銀行の仕組みの導入を進めているわけです。
個人にとって情報銀行を利用することの最大のメリットは、「情報銀行に預けたデータが企業などに販売された場合、利益の還元がある」という点です。還元方法は銀行・契約内容によって変わってきますが、お金、ポイント還元、ギフトカードやクーポン、サービス利用料の割引などによって行われます。個人性が高い情報を提供するほど還元額は大きくなると見込まれますが、どこまで提供するかは個人で決定できるので、「知らない間に提供されていた」ということはありません。
また、企業からサービスを受ける際、個人的なデータを提供した企業からは、個別化されたサービスが提供されます。自分が望むサービスを提供する企業に詳しい個人的データを提供すれば、自分に最適化された形でサービスを利用できるわけです。データの提供先は情報銀行ではなく個人が自分で決めるので、不要なターゲット広告の対象となる事態も防げます。
情報銀行は今年3月から事業者の認定がスタートしているという状況で、今まさに動きだしている最中です。自らの情報を個人で管理する、あるいは情報を管理してくれる企業を自分で探し出すのは手間がかかります。情報銀行はそのような難点を解消し、情報の持ち主である個人とそれをサービスに利用したい企業とを、うまくマッチングさせる機能を果たす機関といえるでしょう。積極的に活用したいと考えている方は、情報銀行に参入を考えている企業・金融機関の今後の動きに注目してみてはいかがでしょうか。
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