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働き方改革の推進を目的とし、労働関係法を改正するための法律「働き方改革関連法」が、2019年4月から順次施行されています。同法における目玉として注目されている「同一労働同一賃金制度」は、2020年4月から適用される予定です。
「同じ企業や団体において、同じ仕事内容であれば、労働者には同じ賃金を支払う」という考え方を実現することが期待されている制度ですが、企業や労働者にはどのような影響があるのでしょうか。同一労働同一賃金制度の導入後に予想される、企業や労働者のメリットデメリットを考察します。
目次【本記事の内容】
同一労働同一賃金の考え方自体は、非正規雇用労働者を取り巻く環境の変化に誕生の背景が見て取れます。
厚労省の調査では、非正規雇用労働者に関し、人数は1984年から2015年までの約30年間で3倍以上増加している一方で、賃金は同期間を通してほぼ横ばいのレベルで推移しています。
正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間で広がってきた、このような賃金格差を是正すべく、政府は同一労働同一賃金制度を含む「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」、通称「働き方改革関連法」を、2018年に成立させました。
同制度の導入による労働者のメリットデメリットは、正規雇用労働者と非正規雇用労働者でそれぞれ異なります。
1)正規雇用労働者のメリット
・いまだに根深く存在する男女間の不当賃金・待遇格差に対し見直しが期待され、女性のさらなる社会進出を後押しする可能性があります。
・昨今、多くの企業で積極的な採用が進む外国人労働者の、日本人労働者との間に発生する不当な賃金格差が見直され、外国人労働者の組織における地位向上が期待されます。
・豊富な知識・経験や、過去の実績がアピールできる高齢層は、たとえ退職後の身であったとしても企業から再注目され、正規労働者として再雇用される可能性があります。
2)正規雇用労働者のデメリット
・これまで能力以上に高い賃金を得ていたとみなされる正規雇用労働者は、制度の趣旨に基づき給与が引き下げられる可能性があります。
・勤続年数に比例する給与アップのシステムが見直されることで、組織の年功序列が崩壊し、ベテラン従業員の士気を下げる危険性があります。
・職種によっては、採用時点で将来性よりも総合力を重視し、熟練度が高い非正規の高齢層を多く選ぶ可能性があるため、若年層の失業率が上がる可能性があります。
3)非正規雇用労働者のメリット
・正規雇用労働者との賃金格差が解消され、基本給だけでなく賞与なども上がる可能性があります。
・正規雇用労働者と同水準の福利厚生や、住宅手当・通勤手当などの各種手当が支給される可能性があります。
・正規や非正規という肩書き自体が意味を持たなくなり、正規雇用へのこだわりから開放され、より自分自身にあった働き方を選ぶことが可能になります。
4)非正規雇用労働者のデメリット
・非正規雇用労働者も職務内容により賃金が決定されるため、非正規雇用労働者の間で賃金格差が広がる可能性があります。
・企業や団体の人件費上昇が予想されるため、非正規雇用労働者の新規雇用を縮小する企業や団体が増える可能性があります。
事業主は、以下に述べる組織としてのメリットデメリットだけでなく、労働者のメリットデメリットも併せて頭に入れておく必要があるでしょう。
1)企業のメリット
・非正規雇用労働者の評価方法や給与体系が改善されることで、これまで以上に彼らのモチベーションや労働生産性の高まりが期待できます。
・優秀な人材が社外へ流出しにくくなり、採用面でも優秀な人材の評価や獲得がしやすくなります。
2)企業のデメリット
・これまで比較的低賃金で採用できていた非正規雇用労働者の賃金が上昇することで、企業が負担する人件費が大きく上昇する可能性があります。
・給与体系や人事評価基準について、労働者が企業へ説明を求める権利を持つようになるため、社内調査や説明会の実施など、あらたな業務が発生する可能性があります。
同一労働同一賃金制度では、厚労省によりガイドラインが発表されており、「基本給」「賞与」「各種手当」「福利厚生・教育訓練」の4つを、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差に対する判断材料にするとされています。
したがって、労働者の能力・経験・業績・勤続年数に応じて基本給や賞与を設定している場合は、正規雇用と非正規雇用それぞれの見直す必要が出てくるでしょう。
また、住宅手当・通勤手当などの各種手当や、福利厚生施設の利用などに関しても、同様に評価基準を見直し、格差の是正と正当な評価に努めることが重要となります。
同一労働同一賃金制度は、2020年4月から適用され、中小企業への適用は2021年4月からスタートします。
労働者や企業にとってさまざまなメリットやデメリットがあるため、特に企業側はまだ先のことなどと考えず、いまのうちからしっかりと制度を理解し、備えを怠らないことが重要です。
関連記事:派遣労働者の“同一労働同一賃金”について
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